2025年5月29日追記:その後、下記の国際貿易裁判所の命令は一時的に差し止められ、関税が一時的に復活しています。詳細はこちらをご覧ください。
2025年5月28日、米国国際貿易裁判所(United States Court of International Trade)は、トランプ政権が2025年に導入した輸入関税の一部について、違法であるとの判断を下しました。判断の対象には、ほぼ全ての貿易相手国に対する「相互」関税(現在10%)のほか、麻薬の流入を根拠に課されたカナダおよびメキシコ(25%)並びに中国(20%)に対する関税が含まれます。
政権側は直ちにこの判断を不服として控訴しましたが、控訴審の審理には相応の時間がかかる見通しです。その間、輸入者が新たな貨物を米国に輸入する際の手続きや、既に支払った関税の還付手続きについて政府から指示が出るまで、1週間程度かかるものと思われます。
欧州または日本原産の貨物については、基本的に「相互」関税(現在10%)は適用されないこととなる見込みですが、以下のとおり、鉄鋼・アルミニウムや自動車関連の関税は引き続き適用されると考えられます。
今回の裁判所命令は、同政権が新たに導入した25%の鉄鋼・アルミニウム関税や自動車関税には影響を与えません。また、2025年以前から施行されている通商法(Trade Act of 1974)第301条に基づく関税(「セクション301関税」)および通商拡大法(Trade Expansion Act of 1962)第232条に基づく関税(「セクション232関税」)にも影響はありません。したがって、中国原産品については、フェンタニル流入や「相互」関税は今後適用されなくなりますが、従来から存在するセクション301関税およびセクション232関税、並びに鉄鋼・アルミニウム・自動車関税は引き続き適用されます。
次週以降、政府からの具体的な指示や説明があり次第、より具体的なご案内を差し上げます。
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