Skip to Main Content
ニュース&イベント: クライアント・アドバイザリー

エクイティ報酬に関して考慮すべき重要コンプライアンス事項 連邦・州の証券法

9.30.24

概要

ストック・オプションや譲渡制限付株式ユニットなど、会社が報酬制度や賞与制度を通じて従業員に提供する自社の証券(securities)は、かかる制度を構築するうえで主要かつ重要な要素となってきました。直接または間接的に、従業員にエクイティ報酬を提供する会社は、連邦および州の証券法に絡む複雑な影響が生じ得ることに留意する必要があります。証券法に違反した場合は、民事・刑事を含め、厳しいペナルティを負わされる可能性があります。したがって、会社が従業員にエクイティ報酬を支払うなど、証券に関連するプランを実施する場合は、その一環として、連邦および州の証券法を徹底的に調査し分析することをお勧めいたします。

連邦証券法およびエクイティ報酬ルール701(Rule 701)

1933年証券法(Securities Act)(以下、「証券法」といいます。)および1934年証券取引所法(Securities Exchange Act)(以下、「取引所法」といいます。)は、証券の募集や売買を規制する2つの主要な連邦証券法です。

いずれの法律においても、免除要件を満たしていない場合には、(発行体は)従業員給付制度および他の関連当事者に関して、証券取引委員会(SEC)に報告・開示することが義務付けられる場合があります。証券法では、発行体に対して、レギュレーションAに基づく少額の公募による免除、レギュレーションDに基づく私募および制限された募集による免除、適格投資家(accredited investor)に対する免除など、いくつかの登録義務免除が認められています。(発行体が)エクイティ報酬制度を実施する際に最も留意すべき点は、非公開会社(privately held companies)が付加給付プランおよび報酬契約書に基づき報酬として従業員に証券を発行する場合には、ルール701に基づき、SECに登録することなく募集および売付けをすることができるという点です。

ルール701の適用を受けるために必要となる要件としては、次のものが含まれます。

  • 発行体が、取引所法による報告義務を負っていないこと。
  • 発行体が、1940年投資法(Investment Act)による登録義務を負う投資会社ではないこと。
  • 過去12ヶ月間に売付けられた証券の価額または総額が、次の金額のうち、いずれか大きい金額を超えていないこと。
  1. 100万ドル
  2. 発行体(または、かかる証券が、同発行体を完全子会社とする親会社が、完全かつ無条件に保証する債務を表している場合には、かかる親会社)の(直近の貸借対照表日における)総資産の15%
  3. 発行体の(直近の貸借対照表日における)同種の証券の発行総額の15%

12ヶ月間に500万ドルを超える証券の売付けが想定される場合、レギュレーションAの要件を満たすためは、売付け前に、財務情報および投資上のリスク要因を、従業員報酬プラン関連文書のコピーと共に従業員に開示しなければなりません。

上述のルール701の適用における数量制限は、実際に売付けられた(オプションの場合には今後売付けられる)金額に基づき決定されます。具体的な数量制限の計算は、エクイティ(equity)の種類によって異なります。

ブルースカイ法(Blue Sky Law)とエクイティ報酬

連邦証券法に基づき登録を免除される特定の証券募集は、必ずしも「ブルースカイ法(Blue Sky Laws)」として知られる州の証券法による登録を免除されるわけではなく、各州には独自の証券法と適用免除があります。したがって、連邦証券法上は免除される募集でも、依然として、各州で適用される証券法の通知要件や提出要件の対象となり得ます。

米国39州には、連邦法に一部基づく、統一証券法(Uniform Securities Act)に準拠したブルースカイ法があります。連邦政府の免除規定に追随したり、証券法ルール701に基づいて募集される証券は免除されると明示的に規定している州もありますが、そうでない州もあります。諸州で適用されるブルースカイ法に基づいて、追加要件が定められていることもあります。たとえば、ニューヨーク州のブルースカイ法では、ニューヨーク州投資家保護局(New York State Department's Investors Protection Bureau)で免除申請を行い、許可を得ることを義務付けています。発行体は、従業員にエクイティ報酬を提供する前に、当該報酬の受領者が居住する州におけるブルースカイ法の遵守事項について確認しなければなりません。

本稿に関して何かご質問がある場合には、リーバナ・サックス弁護士(Riebana E. Sachs)またはコーポレート/ファイナンス/M&A部門のメンバーまでお問い合わせください。

増田・舟井法律事務所は、米国でビジネスを展開する日本企業の代理を主な業務とする総合法律事務所です。
当事務所は、シカゴデトロイトロサンゼルス、およびシャンバーグに拠点を有しています。

© 2024 Masuda, Funai, Eifert & Mitchell, Ltd. All rights reserved. 本書は、特定の事実や状況に関する法務アドバイスまたは法的見解に代わるものではありません。本書に含まれる内容は、情報の提供を目的としたものです。かかる情報を利用なさる場合は、弁護士にご相談の上、アドバイスに従ってください。本書は、広告物とみなされることもあります。