商事契約の解釈は、契約を実施する際に適用される法律に、大きく影響を受けます。契約当事者が、自社の管轄区域(jurisdiction)の契約における通常の条項の標準的な解釈に通じていることはしばしばあります。しかし、他の管轄区域の相手とビジネスを行う場合、最終的にどの法律がその契約に適用されるのかという問題に直面することになります。
国際売買契約に関しては、米国では国連条約、その他の多くの地域ではウィーン条約と呼ばれる、国際物品売買契約に関する国連条約(CISC: United Nations Convention on the International Sale of Goods) が、買主と売主の間に生じる多くの問題に関する共通のルールを提供します。しかし、CISGでさえ、契約において当事者らが実際に合意した文章についての解釈ルールを提供しているわけではありません。
契約解釈のために特定の管轄区域の法律を選択する際に考慮すべき主な要素としては、以下が挙げられます。(i) 当事者がその法律に精通しており、かつ同法に関して豊富な知識を持つ弁護士や仲裁人を利用することができるか、(ii) 契約の種類や関連する業界に関して、その管轄区域の法律がどの程度発展しているか、(iii) 当事者が、契約書の文言に忠実な管轄区域を好むか、または多くの暗黙の追加条項を取り入れる管轄区域を好むか、(iv) 各当事者の管轄区域の法律が、適用する法律を当事者自身が選択することを認めているか。
国際的には、イングランドおよびウェールズ法 (law of England and Wales)が商業契約では好まれてきました。しかし、地域や業界によっては、スイス法やニューヨーク州法も好まれています。米国内では、州法の下、当事者関係に付加的な義務を読み込むのではなく、むしろ契約書の文言に忠実であるという評判があるニューヨーク州とデラウェア州が、しばしば好まれるようです。当事者間の契約に適用される法律の選択は、当事者が使用する文言がどのように解釈されるかを決定することになるため、紛争によっては決定的な影響を及ぼすことがあります。したがって、契約当事者は、自分たちが好ましいと考える法律を契約に適用できるか否かを判断する上で、上記の要素を全て考慮する必要があります。
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