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ニュース&イベント: クライアント・アドバイザリー

供給契約の交渉時にこれだけは押さえておきたい3つの主要条項

11.8.21
関連業務分野 商事/競争/取引

自動車部品やエレクトロニクス部品のサプライヤーは、長い間、より大きな交渉力を持つ大手顧客との取引を余儀なくされてきました。サプライヤーにとっては、顧客とやりとりされる需要予測をモニタリングし、サプライヤーの工場で想定される発注を満たすことができることが毎週の関心事です。サプライヤーの営業担当者にとっては、この点が顧客との信頼関係の最重要事項になります。しかし、大手企業を買い手とするような業界では、サプライヤーは、ほかにも、予測していなかったような契約条項に出くわすことがあります。そのような条項として、少なくとも次の3つの条項が挙げられます。

最恵待遇条項(Most-Favored Customer Clause): この条項により、サプライヤーは、顧客に対する設定価格を、サプライヤーの他の全顧客に対する設定価格と同額とすることを義務づけられます。そして、サプライヤーが顧客に対する価格を引き上げる必要がある場合には、サプライヤーは、その顧客に供給される製品が他の顧客に供給されるものとは実際に異なっていることを示さなければならなくなります。それを示すことができない場合には、サプライヤーは顧客との契約に違反しているとみなされ、顧客に対して損害賠償責任を負うことになる可能性があります。

ステップイン・ライト(介入権)条項(Step-In Rights Clause): この条項により、サプライヤーが発注に応じることができない場合、顧客は、その発注を満足させるため、サプライヤーの知的財産権(意匠、特許等)を利用することができます。もしこのような条項が契約書に含まれるのを回避できない場合には、サプライヤーは、サプライチェーンを阻害する危機を脱してから、知的財産権に対する支配を再度確立する権利や誰が知的財産権を利用可能となるかについて、顧客と交渉する必要があります。

片面的修正条項(Unilateral Modification Clause): この条項により、顧客は、サプライヤーの同意を得ずに契約条件を変更できるようになります。顧客がこのような条項を契約書に記載することを主張する場合には、サプライヤーは、同条項による影響を回避することができる可能性があることを記憶にとどめておく必要があります。たとえば、顧客がサプライヤーに事前通知をせずに契約条件を変更した場合には、そのような一方的な変更は無効となる可能性があります。

これらの条項は、多くの場合、上記のような条項名で規定されていないため、サプライヤーは、顧客に対して上述の権利を与えることとなる条項に注意する必要があります。サプライヤーは、顧客が作成した契約書のドラフトにこの種の条項を見つけた場合、慎重にその条項の変更について交渉し、またはその影響を回避するための内部手続を構築しておく必要があります。

© 2024 Masuda, Funai, Eifert & Mitchell, Ltd. All rights reserved. 本書は、特定の事実や状況に関する法務アドバイスまたは法的見解に代わるものではありません。本書に含まれる内容は、情報の提供を目的としたものです。かかる情報を利用なさる場合は、弁護士にご相談の上、アドバイスに従ってください。本書は、広告物とみなされることもあります。