米国通商代表部(USTR)により25%の追加関税を課すことが検討されているおよそ1300品目にも及ぶ中国からの輸入品のリストに対する意見公募期間が、今週金曜日(2018年5月11日)に終了する。USTRは、当該リスト案に関する公聴会を5月15日に開催する。公聴会への出席希望者は、4月23日までにその希望を申請しておくことになっていた。USTRは、公聴会で指摘された点に関して、5月22日まで追加の「反対」意見を書面で受け付ける予定である。
USTRは、トランプ大統領が1974年米国通商法第301条に基づき命じていた中国の貿易慣行調査において、中国の特定の商慣行が中国でビジネスを行う米国企業にとって不公平であると判断。現在それに対する適切な救済策について最終決断を下そうとしている段階にある。しかしながら、USTRがこうした新たな追加関税を推し進める場合、発効するのは早くてもこの夏の終わり頃になると予想されている。
なお、トランプ大統領による第301条関税は、米国の孤立的かつ一方的な行為であるとしばしば批判的に言われている一方で、欧州連合(EU)においては、2017年末に中国を市場経済国と認めるどころか、ヨーロッパに輸入される不当廉売中国製品に対し、より厳しいペナルティーを課すことができるよう、アンチ・ダンピングやアンチ・補助金に関するEU規制を修正するに至った。EU、米国および日本は、中国が市場経済国としての地位を得ると、様々な貿易規則の下で、安値な中国製品に対してアンチ・ダンピング税を課すことがより困難になることを懸念し、中国がかかる地位を得ることに反発している。一方で、米国やEU域内の中国製品輸入者は、中国製品の輸出価格に関する政府による継続的調査を実感することになるであろう。これは、アンチ・ダンピング関税措置の発動自体が今後も少ないであろう日本とは対照的な動きである。
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