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ニュース&イベント: クライアント・アドバイザリー

トランプの関税政策をうまく切り抜けるには:自動車産業への影響

3.20.25
関連業務分野 商事/競争/取引

米国の貿易政策における最近の動向を踏まえると、企業は、当面のコストを調整し、長期契約に関して生じ得る問題に対処するべきでしょう。2025年2月10日、トランプ大統領は鉄鋼およびアルミニウムに対する関税の現行税率を変更する旨の大統領令を発令しました。長年実施されてきた免除や適用除外は廃止されることになり、アルミニウムに対する関税率は、10%から25%に引き上げられます。この関税率の変更は、2025年3月12日から実施されます。

2025年2月18日、トランプ大統領は自動車関税を「25%前後」とすること、半導体および医薬品の輸入品に対しても同様の関税率が適用されること、ならびに当該税率は2025年4月2日から適用されることを発表しました。その結果、当然ながら、自動車業界だけではなく、その影響を受けるであろう他の業界も不安を募らせています。

北米の自動車産業は、その深部まで統合が進んでおり、米国、カナダ、メキシコにまたがる生産工程において、CUSMA(カナダ・米国・メキシコ協定)などの貿易協定により、部品や原材料の国境を越えた移動が促進されています。現行の米国法では、通常、登録輸入者(importer of record)が関税の支払を負担します。しかし、多くの商業契約、購入注文書、および適用される取引条項には、予期せぬ税金徴収が生じた場合のリスク配分に関する条項や、経費が著しく増加した場合の救済に関する条項が含まれています。関税の突然の課税や税率の引き上げは、価格転嫁を許可する条項や、当該事由を「法律の改正」や「不可抗力の発生」とすることを認める条項の発動につながる可能性があります。

これらの変更を考慮した場合、自動車サプライヤーにとっては、次のような事項を慎重に検討することが重要となってくるでしょう。

  1. 自動車サプライヤーは、関税率の増加が自社の権利と義務にどのような影響を与えるかを見極めるために、現行の契約や契約ひな形の内容を速やかに見直す。その際には、追加費用、規制の変更、および履行義務について定める条項に焦点を当てる。

  1. 自動車サプライヤーは、新規契約を締結する際に、関税の調整による影響を可能な限り軽減できるようにすべきである。

  1. 自動車サプライヤーは、調達に関するプラクティスが現行のCUSMA貿易協定に準拠していることを確認すべきである。北米域外から大量の鉄鋼およびアルミニウムを調達している自動車サプライヤーは、CUSMAに準拠していないとして、関税優遇措置を受けられなくなるリスクがある。

  1. 自動車OEMメーカーおよびサプライヤーは、サプライチェーンに混乱が生じた場合に備えて、緊急時対応計画を策定すべきである。そのような計画には、代替市場からの材料調達や新たなパートナーシップの模索などが含まれる。

  1. 自動車サプライヤーは、国際的な事業の複雑化を進めるおそれのある、原材料価格(input costs)の上昇や他国による報復措置に対処するために、自社のサプライチェーンを見直すべきである。

鉄鋼とアルミニウムの関税の引き上げおよび新たな自動車関税率の適用によって、市場における競争状況が大きく変動することになり、将来を見据えた契約管理がより必要となります。前述の関税に関する新たな措置が、法律上および財務上どのような影響を及ぼすかを把握し、契約条件を詳細に確認することで、貴社は、今後の課題に対処していくうえでより有利な体制を整えることができるはずです。

本稿またはその他契約上の問題についてご質問がございましたら、担当弁護士または商事/競争/取引部門のメンバーまでご連絡ください。

増田・舟井法律事務所は、米国でビジネスを展開する日本企業の代理を主な業務とする総合法律事務所です。
当事務所は、シカゴデトロイトロサンゼルス、およびシャンバーグに拠点を有しています。

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