近時、イリノイ州同一賃金法(Illinois Equal Pay Act)が改正されたことにより、15人以上の従業員を雇用する雇用主は、社内外で掲載する求人情報(Job Posting)に、募集するポジションにおける賃金または給与の範囲と福利厚生の内容を記載しなければならなくなりました。2024年11月22日に、イリノイ州労働局(以下「IDOL」といいます)が、同一賃金法における給与透明性の要件に関するFAQ(よくある質問)(Equal Pay Act Pay Transparency FAQ)を公表したことによって、その実務上の意味とIDOLが新たな法律をどのように施行するのかが、ある程度明確になりました。
雇用主が留意すべき重要な点として、次のようなものがあります。
- 賃金水準(Pay Scale)の開示についての基礎
- 募集するポジションの賃金または給与は、現在見積もられている予算額、事前に決められた範囲、または同等のポジションに就く他の従業員へ実際に支払われている範囲に応じて決定することができます。
- 15人という従業員数は、イリノイ州で雇用される従業員数に限定されない
- 勤務地が米国(イリノイ州外を含む)であれば、正社員かパートタイム社員かにかかわらず、15人の従業員に含まれます。
- 「求人情報(Job Posting)」の定義
- 新たな給与透明性の要件は、特定のポジションまたは職種に関して掲示されるすべての通知や公表に適用されるものです(すなわち、一般的な「求人(Help Wanted)」の掲示や広告は、特定の雇用機会について具体的な記載がされていないため適用の対象外となります)。
- リモートワークは対象外
- イリノイ州外の雇用主が、勤務地を問わずに行うことができるリモートワークのポジションを募集をする場合、かかる職務が、(i)少なくとも部分的に、実際にイリノイ州で遂行されること、または(ii) イリノイ州におけるスーパーバイザー、職場、または経営陣へ報告したり、その監督下で働くことになることを、雇用主が募集時点で知っているか、または合理的に予見できる場合に限って、この新しい要件に従う必要があります。
- 募集するポジションがイリノイ州外のポジションである場合、業務上の理由でイリノイ州へ時々、断続的、または不定期に訪問したり、またはイリノイ州の者と連絡を取ったりすることが想定される場合でも、給与透明性の要件の適用の対象にはなりません。
本稿について何かご質問がある場合は、ノーリーン・アムジャッド弁護士(Naureen Amjad)、ケヴィン・ボアザン弁護士(Kevin Borozan)または雇用/労働法/福利厚生部門のメンバーまでお問い合わせください。
増田・舟井法律事務所は、米国でビジネスを展開する日本企業の代理を主な業務とする総合法律事務所です。
当事務所は、シカゴ、デトロイト、ロサンゼルス、およびシャンバーグに拠点を有しています。
© 2025 Masuda, Funai, Eifert & Mitchell, Ltd. All rights reserved. 本書は、特定の事実や状況に関する法務アドバイスまたは法的見解に代わるものではありません。本書に含まれる内容は、情報の提供を目的としたものです。かかる情報を利用なさる場合は、弁護士にご相談の上、アドバイスに従ってください。本書は、広告物とみなされることもあります。