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カリフォルニア州、みなし解除の理論を認めず

9.30.24
関連業務分野 商事/競争/取引

製造業者は、特定の販売地域で自社製品を販売する目的で、指定の販売業者との間で販売店契約を締結しますが、同契約において独占的販売権条項(exclusivity clauses)を規定することが少なくありません。もっとも、エンドディーラーまたはディストリビューターが販売目標または主要業績評価指標を達成できない場合は、独占的販売権条項が無効とされることがあります。さらに、かかる条項には、ディストリビューターの業績(売り上げ)にかかわらず、製造業者に、ディストリビューターの指定販売地域への「侵入(invade)」を許す規定も含まれることがあり、それはディストリビューターにとって厳しいペナルティであることを理由に、ディストリビューターから同契約はみなし解除(constructively terminated)されたと主張される可能性があります。

最近のCarolina Beverage Corporation他対Fiji Water Company LLC(Carolina Beverage Corporation et al. v. Fiji Water Company LLC (2024) 102 Cal.App.5th 977)事件は、その例のひとつですが、カリフォルニア州控訴裁判所は、本理論を認めないという重要な判決を下しました。

2009年、Fiji Water Company(以下「Fiji」といいます)は、ディストリビューターであるCarolina Beverage Corporation(以下「Carolina」といいます)との間で期間を5年間とする条件付き独占契約(qualified exclusive agreement)を締結しました。本独占契約では、次のような条項が規定されていました。

  1. (a) Fijiが最初にCarolinaと販売条件について協議・交渉していること、および(b)両当事者が販売条件について合意できなかった場合に、Fijiが、販売する各ケースにつき1ドルの「侵入手数料(invasion fee)」をCarolinaに支払うことを条件として、Fijiは、Carolinaの販売地域に侵入し、小売業者に直接販売することができる。
  2. 次の4つの方法のいずれかにより本独占契約を解除することができる。(a) 両当事者は、30日前の事前通知をもって、直ちに解除できる。(b) Fijiは、列挙される8つの理由のいずれか1つ(通常は支払い不能)により、ペナルティなく、直ちに解除できる。(c) Fijiは、前年にCarolinaが販売した各ケースにつき5ドルの「解約金(termination payment)」をCarolinaに支払う限り、30日前の事前通知をもって、いつでも、いかなる理由でも解除できる。(d) Carolinaは、180日前の事前通知をもって、いかなる理由でも解除できる。

2018年11月までに、FijiがCarolinaの指定販売地域の約85%に侵入したため、Carolinaは、かかる侵入がFijiによる違反であり、当該契約が「みなし解除された(constructively terminated)」との理論に基づき、Fijiに約190万ドルの解約金を要求しました。しかし、Fijiは解約金の代わりに約55,000ドルの侵入手数料を支払った上で、契約の解除を否定し、2019年1月以降は本独占契約を更新しない旨をCarolinaに伝えました。このような状況にもかかわらず、Carolinaは、同契約の履行を継続しました。

2019年9月、Carolinaは、契約のみなし解除の理論に基づき、契約違反でFijiを訴えました。陪審員は、「契約の一方当事者が、同契約の利益を得る他方当事者の能力を実質的に干渉して、当事者間の関係を終了させるような」行為に従事する場合には、みなし解除が認められるとして、Carolinaに有利な評決を下し、Carolinaは勝訴しました。Fijiは控訴し、控訴裁判所は、当該判決を覆しました。

控訴裁判所は、Fijiが、1ケース当たり5ドルの「解約金」の支払いを要する30日前の事前通知による契約解除をしておらず、みなし解除も有効な理論ではないと判示しました。控訴裁判所は、雇用者・従業員間の契約および賃貸借契約のシナリオ、すなわちほとんどの場合において追加的な保護を必要とする経済的弱者が存在する状況以外で、法はそのような理論を認めていないと指摘しました。そのような状況とは対照的に、FijiとCarolinaは、契約条項で解除について明記するほどの見識を持つ当事者であり、Carolinaのさらなる保護についての追加的手段を契約に含めることができたと述べました。

本件は、製造業者およびサプライヤーがディストリビューターと新たな契約を締結する場合に重要です。独占的販売権についての条項(exclusivity provision)は、常に詳細に記載する必要がありますが、製造業者は、契約解除についての条項を起草する際にはさらに注意を払う必要があります。

本件について、または本決定の適用が貴社のビジネスに与える影響についてご質問がございましたら、貴案件の担当弁護士または商事/競争/取引部門のメンバーまでお問合せください。

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