著者:ジェイク・ベネット、2023 年サマーインターン
1968年公正住宅法(Fair Housing Act of 1968)(以下「FHA」といいます。)は、住居(dwelling)の賃貸における賃借人の障害等を理由とする差別を禁止しています。FHAが適用されるためには、賃貸住宅が居住者の唯一または永住の住居である必要はありません。そして、FHAにおける差別には、住居を利用し享受する機会を均等に与えるために必要な、規則、方針、慣習、サービスにおける合理的配慮(reasonable accommodation)を行うことを拒否することも含まれます。かかる合理的配慮の例として、ペット禁止ポリシーを状況に応じて適合させることが挙げられます。
米国住宅都市開発省(U.S. Department of Housing and Urban Development)(以下「HUD」といいます。)は、FHAなどの住宅及び都市開発に関連する連邦法を所管する政府機関です。HUDによれば、エモーショナル・サポート・アニマル(Emotional Support Animal)(以下「ESA」といいます。)とは、飼い主との感情的なつながりを提供し、資格のある医療専門家によって処方され、精神疾患や障害を持つ個人をサポートする動物のことを意味します。HUDは、ESAの利用についてペット禁止ポリシーを適合させることをFHA上の合理的配慮であるとしています。さらに、連邦裁判所も、HUDの指針を適用し、ESAの利用を合理的配慮として認めており、FHA上のESAに該当するためには、特別な訓練を受けている必要はないとしています。
しかしながら、FHAによるESAの保護は、「住居」(dwelling)の定義が許す範囲にしか及びません。FHAは住居(dwelling)を「一世帯または複数世帯が住居(residence)として使用する、または住居として使用することを意図し、もしくはそのように設計された建物」と定義しています。そのため、裁判所による分析は、「住居(residence)」の辞書的な意味を調べることから始まります。それによれば、住居(residence)の基本的な意味は、「一時的または永続的な住居(dwelling place)、住まい(adobe)、居住地(habitation)」であり、「一時的な滞在や一時的な訪問の場所とは区別され」ます。第3巡回区控訴裁判所は、かかるアプローチに基づき、当該建物が相当期間滞在する居住者のために意図または設計されているかどうか、また居住者がその期間中に帰ってくる場所として当該建物を見ているかどうかを問うています。
裁判所は、モーテルやベッド&ブレックファスト施設(以下「B&B」といいます。)は、帰ってくるつもりのない一過性の宿泊客に対して宿泊を提供するものであることから、住居(dwelling)ではないとし、FHAの適用を否定してきましたが、長期滞在型ホテル(Extended-stay hotels)の場合は、より区別が難しくなります。長期滞在型ホテルは、モーテルやB&Bとは異なり、利用者はかなりの期間滞在するつもりであることが多いためです。さらに、第11巡回区控訴裁判所は、どのような場合に建物が帰る場所とみなされるかについて指針を示しています。同裁判所によれば、食事を作り、部屋を掃除し、洗濯をし、共有スペースで時間を過ごすことはすべて、当該建物が住居とみなされることを示唆するものであるとしています。長期滞在型ホテルは、多くの場合、居住者がこれらの活動に従事できるように設計されています。長期滞在型ホテルがFHAの下で住居(dwelling)に分類され、それによりESAに適用される保護を受けられるかどうか断定はできませんが、そのような説得的な議論は可能であると考えられます。
© 2024 Masuda, Funai, Eifert & Mitchell, Ltd. All rights reserved. 本書は、特定の事実や状況に関する法務アドバイスまたは法的見解に代わるものではありません。本書に含まれる内容は、情報の提供を目的としたものです。かかる情報を利用なさる場合は、弁護士にご相談の上、アドバイスに従ってください。本書は、広告物とみなされることもあります。