中間選挙
米国議会では2022年11月8日に中間選挙が行われ、下院議員全435名と上院議員100名のうち34名が改選されます。現在、下院では民主党が共和党より10議席上回っています。上院は、50名の共和党議員、48名の民主党議員および2名の無所属議員で構成されており、無所属議員は通常民主党と党員集会を行っています。
このような状況で中間選挙が行われる際に、バイデン・ハリス政権の移民制度改革計画を実行するには、下院での支配力を維持するとともに、上院での支配力を確保することが不可欠となります。選挙が行われる時期には、必ず多くの分野において移民問題が「ホット」な話題となります。たとえば、ドリーマー(子供のときにアメリカに連れてこられた不法移民者)を含む不法移民者の人口、米国境の危機およびH-1Bビザプログラムなどが挙げられますが、それに現在の世界的なパンデミックも加わるため、興味深い選挙となることでしょう。
立法手続によらない移民措置
中間選挙の前に、移民制度改革の法制化は実現しないかもしれませんが、バイデン・ハリス政権は、雇用主と非米国市民にとって有利となるような規制や手続きに関わる問題について、地道に対処してきました。しかし、まだ他にも計画されている改革があります。
- パンデミックが未だに収束していないことと、米国大使館・領事館での移民ビザの発給が制限されていることにより、雇用ベースのグリーンカードの追加申請が殺到する結果となりました。残念ながら、移民投資家パイロットプログラムは2021年6月30日に停止しました。同プログラムが延長(再開)されるには立法措置が必要とされるために、EB-5投資家およびEB-5地域センタープログラムに基づくグリーンカードは現在発給されていません。
- 米国政府は、約21か月前に開始された、就労資格証明書(Form I-9)の作成・提出義務に関する緩和措置を2022年4月30日まで延長すると発表しました。リモートワークをする人が増えたため、米国政府も、雇用主がビデオリンク、FAX、Eメールまたは他の手段を利用して、Form I-9文書を閲覧できるようにすることで、従業員の身元および就労資格の確認が可能であることを認識しました。それにより、35年前からずっと採用されてきたForm I-9審査プロセスの効率が21世紀レベルに向上しました。
- 決して望ましいことではありませんが、パンデミックとインフレーションの影響によって、移民関連手続きの処理経費も上がる可能性があります。米国移民局は、申請手数料の引き上げを計画しています。また国務省も、米国大使館・領事館でのビザ申請手続きに要する手数料の大幅な引き上げを提案しており、労働省でも、故意による労働条件申請(LCA: Labor Condition Application)の違反に対する罰金を引き上げています。
新型コロナウイルス(COVID-19)
このような世界的パンデミックが始まってから3年目に入ろうとしていますが、海外への渡航には今後も引き続き制約と困難が伴うことでしょう。米国大使館・領事館では、依然として移民関連申請手続きの対応や処理が遅れているため、面接が必要な申請者にとっても面接を免除される申請者にとっても、申請手続きは長期化したままです。米国移民局は、前述の措置を講じるなど、手続上の遅延の解決に努めていますが、なかなか進展は見られません。海外渡航および他のCOVID-19関連事項に関して、今後新たな情報や進展が見られた場合は、時宜にお知らせいたします。
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