Skip to Main Content
ニュース&イベント: クライアント・アドバイザリー

第10巡回区での商標権侵害訴訟における弁護士費用の回収が従来よりも容易に

6.24.21
関連業務分野 知的財産テクノロジー

概要


米国第10巡回区控訴裁判所は、今般、特許権侵害訴訟における弁護士費用の賠償に関する米国最高裁の基準が、商標権侵害訴訟にも適用される旨判示しました。これにより、基本的に、同巡回区における商標権侵害訴訟の当事者による弁護士費用の回収が従来よりも容易になりました。また、他のすべての巡回区の控訴裁判所が過去に同様の判断をしているため、この基準がすべての巡回区における統一的な基準となりました。

米国特許法第285条は、第一審である連邦地方裁判所が、「例外的な場合」には敗訴当事者に対し、勝訴当事者の弁護士費用の賠償を命じることができる旨定めています。米国最高裁は、Octane Fitness v. ICON Health & Fitness (2014)事件において、「例外的」とみなされるためには、事情が「際立っているもの」であればよく、これに関する立証責任の基準は「証拠の優越(preponderance of the evidence)」である旨判示し、従前の、より厳格な、「明確かつ説得力のある証拠(clear and convincing evidence)」による証明を要するとの基準を変更しました。これにより、特許権侵害訴訟で勝訴した訴訟当事者が弁護士費用を回収することが同判決以前より容易になりました。また、米国商標法(Lanham Act)第1117条(a)は、特許法第285条と文面上同一の規定を含んでいるところ、第10巡回区を除くすべての巡回区の控訴裁判所が、商標法上「例外的な場合」にあたるかを検討する際にもOctane事件判決の論理を採用しており、これらの巡回区では、商標権侵害訴訟においても弁護士費用を回復することが容易になっていました。

2021年6月8日、第10巡回区控訴裁判所は、Derma Pen, LLC v. 4EverYoung Limited事件において、商標権侵害訴訟における「例外的な場合」の基準は、特許権侵害訴訟における「例外的な場合」の基準と同じものである旨判示し、Octane事件における米国最高裁の特許法第285条の解釈に基づいて、被控訴人(第一審被告)の弁護士費用賠償の申立てを認容した第一審の判断を支持しました。同事件判決により、第10巡回区を含むすべての巡回区において、今後、商標権侵害訴訟における弁護士費用賠償の申立てを認容すべきか否かの判断にあたって「例外的な場合」にあたるかを検討する際、「証拠の優越」の基準が統一的に適用されることになりました。

第10巡回区における商標権侵害訴訟の当事者は、訴訟の費用便益分析を行うにあたり、従前よりも、弁護士費用の賠償を求める申立ての成功率が上昇することを念頭に置く必要があります。立証責任の基準が統一されたことで、すべての巡回区で横断的に弁護士費用の賠償が認容される確率を観念できることになり、訴訟の費用便益分析は一定程度単純化される可能性があります。なお、被告による弁護士費用の回復が認められる場合が多いものの、Octane事件判決に基づいて原告による弁護士費用の回復が認められた事例も存在することに留意すべきです。

© 2021 Masuda, Funai, Eifert & Mitchell, Ltd. All rights reserved. 本書は、特定の事実や状況に関する法務アドバイスまたは法的見解に代わるものではありません。本書に含まれる内容は、情報の提供を目的としたものです。かかる情報を利用なさる場合は、弁護士にご相談の上、アドバイスに従ってください。本書は、広告物とみなされることもあります。