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ニュース&イベント: クライアント・アドバイザリー

トランプ大統領発表の「アメリカ再開(Opening Up America Again)ガイドライン」の下での事業再開ガイドライン【Part 7】

5.22.20

概要
 

2020年4月16日(木)、トランプ大統領は、「アメリカを再開させるためのガイドライン(Guidelines for Opening Up America Again)」(「本ガイドライン」)を発表しました。

本ガイドラインは、州政府・地方自治体の機関が経済活動の開始を促し、人々が職場復帰に備え、および雇用主が業務活動の再開に際して直面する課題に対処するために、支援し、指針を示すものです。

当事務所では、雇用主が各自の業務再開プランを立てる際に考慮すべきビジネス・人事・安全関連事項について最新情報を提供するために、引き続きクライアント・アドバイザリーを発行してまいります。

本稿では、「従業員が職場に復帰しなかった場合、401(k)(確定拠出年金)プランに生じ得る問題点」について考察いたします401(k)プランの部分的終了(partial plan terminations)に関して、何かご質問などございましたら、貴社の担当弁護士までご連絡ください。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるパンデミックにより、レイオフ(一時解雇)、一時的無給休暇(furlough)または解雇が大幅に行われ、その影響により、内国歳入法(「本法」)の条項で規定される401(k)プランの部分的終了(partial plan terminations)が生じています。今のところ内国歳入局(「IRS」)は、COVID-19が原因で引き起こされた401(k)プランの部分的終了に関する指針は発行していません。そのため、現況でレイオフや一時的無給休暇を言い渡されていた従業員が、事業運営の再開時に再雇用された場合や職場に呼び戻された場合、部分的終了の有無を判断する対象とみなされるか否かは明らかではありません。

本稿では、IRSが401(k)プランの部分的終了に関して指針を示す通達2007-43(「IRS通達(Revenue Ruling)」の要点を挙げてみました。本通達で、IRSは、プランの部分的終了に関する見解を示すとともに、部分的終了が生じたか否かを判断する際に(雇用主が)取るべき手順にかかる最近の指針を記載しています。本指針は、基本的に、既存のIRSガイダンスと判例法の内容をまとめたものです。

  1. 適格退職制度(tax qualified retirement plan)を終了する際、またはその「一部」が終了する際は、当該プランの一部終了の対象となるプラン加入者が退職日までに取得している退職金の受給権は没収不可(non-forfeitable)とみなされなければならないと、本法で規定されています。本法または関連規則のいずれにおいてもプランの部分的終了に関する明確な定義づけがされておらず、単に、プランの「部分的終了」が生じた原因となり得る特定の事例の事実と状況について定めているにすぎません。

  1. 過去の判例法に照らすと、プラン加入者である従業員が離職(非任意および自己都合による退職も含む)(severance)した割合に重点を置いた分析内容が大部分ですが、その場合「相当の割合(significant percentage)」テストが適用されています。IRS通達が出されるまでは、プランの部分的終了が生じたとみなされる割合は特定されていませんでした。しかしIRSが裁判所に提出した訴訟事件摘要書には、プラン加入者の最低20%が当該プランの保障を失った場合に、プランの部分的終了が生じると記載されています。この見解は、IRS通達でも確認されています。したがって、IRS通達により、(プラン加入者である)従業員の離職があった場合、かかる「離職率(turnover rate)」が最低20%であれば、「部分的終了(partial termination)」が生じたと推定されます。ただし、これは反証を許す推定にすぎません。

  1. 「離職率」は、(a) 「対象期間(applicable period)」に解雇(employer-initiated severance)された「プラン加入者(participating employees)」の人数を(b) 対象期間開始時の全プラン加入者の人数と対象期間内にプランに加入した従業員の総数で割ることによって得られます。離職率の算出では、次の規則が適用されます。

• 離職率を算出するとき、「プラン加入者」を定めるには、プラン拠出金に対するプラン加入者の受給権にかかわらず、当該プランに加入するすべての従業員が考慮される。さらに、雇用主が当該プランを導入している複数の企業体を有している場合は、分析の対象となるのは、ひとつの企業体だけに限られない。最後に、離職率の算出では、少なくともまず最初は、COVID-19を原因とする解雇だけではなく、すべての解雇が計算に含まれる。

「対象期間(applicable period)」は、状況により異なる可能性がある。現在のプラン年度かもしれないし、前年度かもしれない。あるいは、関連した一連の離職があれば、さらに長い期間が対象となることもある。COVID-19によるパンデミックがどれくらいの期間続くか、または第二波に襲われるのか不明なことから、対象期間も定かではない。

「解雇(employer-initiated severance)」とは、従業員の死、障害または通常の退職年齢に基づく退職を含まない、非任意の離職(退職)を意味する。非任意のレイオフだけでなく、正当な事由による解雇も含まれるという意味に取れる。かかる解雇には、現在の雇用主の下で従業員が関係会社に異動し、それまで加入していた401(k)プランを継続できないような場合も含まれる。さらに、従業員が「自己都合(voluntary)」により離職(退職)する場合でも、雇用主が設けた早期退職プログラム(本法で定められているwindow program)や他に早期退職を促すプログラムに従って離職する場合は、解雇(employer-initiated severance)とみなされる傾向にある。

  1. 対象期間中の離職(率)を理由に401(k)プランの部分的終了が生じたと推定された場合、「同期間中に離職(退職)したすべてのプラン加入者には、各自の退職金給付引当金(accrued benefits)の全額を受給する権利が付与されなければなりません。」退職金給付引当金の全額の給付が義務づけられることになりますが、かかる給付は、(特別なレイオフや一時的無給休暇など)特定の雇用措置を受けるプラン加入者だけに制限されるものではないため、ご注意ください。特定の雇用措置の対象とはみなされない離職・退職も含め、同期間中に退職する全従業員に同様の受給権が付与されることになります。

 401(k)プランの各スポンサー(企業/雇用主)は、プランの部分的終了が生じたか否かを判断するために、各ビジネスにおける対象期間が実際にいつであるのか検討する必要があるでしょう。

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