カリフォルニア州では2018年1月より、面接で聞いてはいけない質問に「過去の給与額」が追加されることとなった。厳密には、過去の給与額と手当(ベネフィット)に関する情報とされている。この法律の狙いは、雇用側が過去の給与額を基に採用するか否か、または初任給の額を設定する事を避けるためだが、就職希望者が自ら過去の給与額を申し出た場合はこの法律は適用されず、雇用側はその情報を基に給与設定をする事が可能となる。
近年では多くの企業が人材派遣会社を利用するようになったが、人材派遣会社等を通して、就職希望者の過去の給与額や手当に関する情報を得る事も、この法律では禁じられている。また、口頭による質問だけでなく、手紙や電子メールなど書面によって同情報を質問したり問い合わせる事も禁じられている。
まだ数少ないが、カリフォルニア州以外の州(デラウェア、マサチューセッツ、ニュージャージー、オレゴン、バーモント)やプエルトリコでも同様の法律が既に施行されており、またサンフランシスコ市や、ニューヨーク市、オールバニ郡およびウエストチェスター郡(ともにニューヨーク州)などでは市郡レベルで同様の規則が制定されている。州や市により多少内容が異なる為、各州や市における法律の内容を把握しておくことも、将来の訴訟リスクを回避する上で重要ポイントとなるが、今からでも出来る事は、雇用申込書から過去の給与額、及び手当に関する質問記入欄を削除する事、そして面接で過去の給与と手当に関する質問やコメントを避ける事である。
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